日銀短観の雇用判断は -37.0。企業は「人が足りない」一色
「過剰」と答えた企業から「不足」と答えた企業を引いた雇用判断DI。大きなマイナスは、それだけ人手不足が広く深いことを示す。
日銀短観の雇用人員判断DIは-37.0。これは「雇用が過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた割合を引いた値で、大きなマイナスほど人手不足が深いことを意味する。
人手不足は、賃上げ圧力の源であると同時に、供給制約(作れない・回せない)の源でもある。前段の名目賃上げの背景には、この需給がある。
雇用が強いこと(前段のサーム値・失業率)と、企業が人手不足に苦しむことは、同じコインの裏表だ。労働市場はタイトで、それが賃金と物価の両方に効く。
ここから言えるのは、人手不足は景気の強さの証であると同時に、成長の天井にもなりうる、ということだ。経営者が人手の不足を強く感じるほど、賃上げ圧力は高まり、供給制約が生産を抑える。強い雇用は、賃金と物価を押し続ける側面も持つのではないか。
影響が及ぶのは、賃金・物価・そして事業の持続性だ。人手不足が構造的なら、省人化投資や外国人材の受け入れが避けられなくなる。DIは企業の主観アンケートで実際の求人数そのものではないが、経営者が体感する不足の広がりを四半期ごとに同じ物差しで捉えられる。
人手不足は『成長の証』とも『供給の限界』とも報じられる。短観の雇用判断DI -37.0という深いマイナスは、その両義性を数値で示す。足りないから賃金は上がり、足りないから作れない・回せない。同じ不足が、追い風にも逆風にも効く。
この不足は、前段の実質賃金マイナスと矛盾しない。名目賃金を押し上げる圧力(不足)と、物価が実質を削る力が、同時に働いているからだ。人手不足を『賃上げの朗報』とだけ読むのは、片面だけを見ている。
DIは経営者の主観アンケートで、求人数そのものではない。だが不足の「広がり」を四半期ごとに同じ物差しで測る点に価値がある。数字は、体感の温度を定点化する。
取得 2026-07-28 07:31 JST(launchd 定時観測)· この記事の全数値は再取得できます